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民法の改正―「瑕疵担保責任」に替わる「契約不適合責任」

民法改正の契約不適合責任不動産関連法規

今までの民法の考え方は、不動産は取替えのきかない「特定物」という前提に立って、例え欠陥があったとしても、売主は買主に物件を現況で引き渡せば債務の履行を果たしているという考え方の前提がありました。

瑕疵担保責任

不動産の売買契約等における買主の不利を補うため、債務不履行責任とは別に「瑕疵担保責任」という制度を設けて、買主に損害賠償請求と解除の救済手段を与えているということでした。

この瑕疵担保責任については、一般の不動産の売買契約では、買主が契約締結時に瑕疵の存在を知らず、知らないことに過失がなかったことが前提です。

さらに、売主が知っていた瑕疵以外を、瑕疵担保責任を負わない旨の特約も有効でした。

買主の権利は、瑕疵を知った時から1年以内に権利を行使しなければいけなくて、物件の引き渡しから10年で買主の権利は時効で消滅することとなっていました。

このため、売買契約書では、下記のように瑕疵担保期間を設けていることが一般的でした。

(瑕疵担保責任)

第〇条 買主は、売主が標記において瑕疵担保責任を負担する場合は、本物件に隠れた瑕疵があり、この契約を締結した目的が達せられない場合は契約の解除を、その他の場合は損害賠償の請求を、売主に対してすることができる。

2 契約の解除をした場合においても、買主に損害がある場合には、買主は売主に対し、損害賠償請求をすることができる。

3 本条による解除又は請求は、本物件の引渡し後標記の期間を経過したときはできないものとする

契約不適合責任

改正民法では、売主は、「契約の内容に適合した物件」を引き渡す契約上の債務を負うという考え方を前提にすることになりました。

売買契約書の方も、「契約不適合責任」という項目に変更されてくると思います。

(契約不適合責任)

第〇条 引渡された本物件が種類又は品質に関してこの契約の内容に適合しないものであるとき(以下「契約不適合」という。)は、買主は、売主に対し、本物件の修補を請求することができる。この場合、売主又は買主は、相手方に対し、修補の方法に関し協議の申し入れをすることができる。

2 引渡された本物件に契約不適合があるときは、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し、修補に代え、又は修補とともに損害賠償を請求することができる。

3 引渡された本物件に契約不適合があるときは、買主は、売主に対し、相当の期間を定めて本物件の修補を催告したうえ、この契約を解除することができる。ただし、その契約不適合によりこの契約を締結した目的が達せられないときに限り解除できるものとする。

4 買主が前項に基づきこの契約を解除し、買主に損害がある場合には、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し損害賠償を請求することができる。この場合、標記の違約金の定めは適用されないものとする。

5 買主は、この契約を締結したときに本物件に契約不適合があることを知っていた場合、又は本物件の引渡し後標記に定めた期間を経過するまでに売主に本物件に契約不適合がある旨を通知しなかった場合、売主に対して本条に定める権利を行使できないものとする。

具体的にどう変わるのか

これまでのように、「隠れた瑕疵」があったか否かではなく、契約で定められた内容が実現されたか否かが焦点になってくるようです。

(例1)

土地を購入して建物を建てようとしたところ、地中から建設廃材等のガラが見つかり、これを撤去しなければ建物が建築できないことが判明しました。

土地は、何のために買ったかといえば、買主はマイホームをその土地に建てるためであり、「契約不適合があった」と判断されるようです。

買主は、売主に対して、ガラの撤去をしてもらうか、撤去は自分でするから売買代金の減額、または撤去費用を負担してもらうことになります。

それも叶わなかった場合は、契約を解除することになりそうです。

(例2)

買った建物に雨漏りがしました。

このままでは生活できないから、「契約不適合があった」として、売主に修繕してもらう、売主が修繕できない時は自分でするから売買代金減額か、修繕費用を出してもらうことになり、それもダメなら契約解除となりそうです。

契約書に出てくる「契約不適合責任の通知期間」が物件の引渡しからどのくらいの期間なのかがポイントになってきそうです。

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