入居を断れやすい低所得者や高齢者向けの住宅を確保するために、空き家・空き部屋を活用した「新たな住宅セーフティネット制度」が機能していないようです。
2020年度末までに17万5000戸を確保するのが目標ですが、登録件数は遠く及ばない数字です。
新たな住宅セーフティネット制度
この制度は、2017年10月にスタートしました。
低所得者や高齢者、障害者らの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅をオーナーが県、政令市(静岡市、浜松市)、中核市(沼津市、富士市)に登録し、WEBサイト上に住宅の情報を公開するシステムです。
一定の条件で、登録住宅の改修費や家賃を国と自治体が補助するほか、県が社会福祉法人やNPOを「居住支援法人」に指定して、物件探しや福祉サービスにつなげることになっています。
制度が普及しない原因
住宅政策に詳しい大学の先生によると、「現在の制度がオーナーの不安を払拭できるものになっていないのが大きな原因」ではということです。
家賃補助は、自治体が予算化すれば実現しますが、まだ予算化する自治体が少なく、オーナーがメリットを感じられない現状があるようです。
オーナーの善意を前提とした登録制度には無理があるようで、本当のセーフティネットになるには、賃貸物件を自治体が借り上げる公的支援にするか、家賃補助をもっと充実させるなどの対策が求められています。
成功例もある
オーナーの不安軽減のカギを握るのは「居住支援法人」のあり方にもあるようです。
千葉県から指定を受けたある法人は、高齢者や障碍者の入居後も手厚い支援を続けることでオーナーの信頼を得ています。
コンセプトは、「生活サポート付き住宅」ということで、
●警備会社による安否確認
●死亡した際の遺品整理費用(限度額30万円)の負担
●就労支援や生活再建相談
などを実施しています。
オーナーは、孤独死などで事故物件になったり、近所とトラブルになることを気にするので、その当たりのサポートを充実させたということです。
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