2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたのと同時に「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入され、2023年10月からの実施が予定されています。
この制度は、消費税の免税業者に影響があるとされています。
「インボイス制度」とはどういうものか?
インボイス制度(適格請求書等保存方式)の目的は、「益税」をなくすことにあるとされています。
消費税の仕組みは、「仕入れ先から原材料を仕入れ、商品にして消費者に販売する」という例では、次のようになります。
[例]
① 仕入れ先から原材料を1,000円で調達する。
② 原材料を加工して商品を作る。
③ 作った商品を消費者に2,500円で販売する。
この場合、最終的にこの商品を2,500円で購入する消費者は、2,500円に10%の消費税を上乗せした2,750円を支払うことになります。
250円の消費税は消費者が全額負担しています。
しかし、この250円を納税するのは消費者ではなく、販売した事業者になります。
消費税が「間接税」といわれるのは、納税者が直接、納めるのではなく、その商品をつくって販売したメーカーや、原材料を販売した仕入れ先が納税義務を負っており、消費者は間接的に納税する形になっているからです。
メーカーや仕入れ先の納税
仕入先は、原材料をメーカーに1,000円で販売する際、これに10%の消費税に相当する100円を上乗せした額を受け取っており、この100円が、仕入れ先の預り消費税であり、これを納税期日までに納めることになります。
また、メーカーは、商品を販売した消費者から250円の預り消費税を受け取る一方、仕入れ先には100円の消費税を支払って原材料を購入しているため、二重課税を避けるために250円から100円を差し引いた150円を納めることになります。
これが、「仕入れ税額控除」ということになります。
しかし、仕入れ先やメーカーのなかには免税事業者という立場の方もいます。
免税業者は、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税の義務が免除された業者です。
基準期間は前々年度(2年前)となることから、事業を開始して2年以内の会社なども原則として免税事業者に該当します。
仕入れ先などが免税事業者だった場合、メーカーから預かった100円の消費税を納税せずに済んでしまうことで、それが利益のようになることから「益税」とも称されています。
インボイス制度の導入
この状況を改善するために導入されたのが「インボイス制度」です。
これにより、インボイス(適格請求書)のない取引による消費税の仕入税額控除が2023年10月から段階的に縮小され、2029年10月から廃止されることになります。
これまでは基本的に「何をいくらで購入したか」がわかる請求書があれば仕入税額控除を受けられました。
インボイス制度では、仕入税額控除を受けるためには必ずインボイスが必要になるようです。
ただ、「インボイスを発行できるのは、税務署に登録された適格請求書発行事業者に限られる」というルールがあるのでここらが少し面倒になってきそうです。
今後の動きを注視していきたいと思います。
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