令和2年6月5日に,建築物等の解体等工事における石綿(アスベスト)の排出等の抑制を図るため,「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が公布されました。
令和3年4月1日から順次施行されます。
改正法では、建築物等の解体等工事における石綿の飛散を防止するため,全ての石綿含有建材への規制対象の拡大が図られます。
都道府県等への事前調査結果報告の義務付けや作業基準遵守の徹底のための直接罰の創設等,対策が一層強化されることになります。
アスベストの飛散防止
政府は、アスベストを2004年に建材の使用を禁止しました。
しかし、禁止前に建てられたビルなどには石綿が残っているケースが考えられます。
今回の規制では、石綿を少しでも使った全ての建材に飛散防止対策を義務付けることになります。
セメントやゴムなど他の材質と混ぜた建材も対象となり、解体工事などで対策が必要な建物の数は現在の年間約2万件から、最大で20倍の約40万件まで増える見通しだということです。
改正法のポイント
1.規制対象の拡大
石綿含有成形板等を含む全ての石綿含有建材に拡大する。
2.事前調査の信頼性の確保
石綿含有建材の見落としなど不適切な事前調査を防止する。
3.直接罰の創設
石綿含有建材の除去等作業で、隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った者に
対する直接罰を創設する。
4.不適切な作業の防止
業者に対し、石綿含有建材の除去等作業の結果の発注者への報告や作業に関する記録
の作成・保存を義務付ける。
5.その他
都道府県等による立入検査対象の拡大、国及び地方公共団体の責務の創設等,所要の
規定の整備を実施する。
今後の課題
専門家によると、今後の課題の一つは、石綿の除去作業に当たる作業員の安全確保をどのように図っていくかということです。
二番目の課題が、石綿の建材を解体工事前に調べる人材の育成ということです。
国は、専門的な人材を3年間で30~40万人育成するとしていますが、人材育成が作業の進捗に間に合うのか不透明な部分もあるということです。
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