不動産を購入しようとする買主が、別の不動産を売却した代金をもってその不動産の購入費用に充てることを「買い換え」といいます。
不動産のこうした買い換えでは、別の不動産の売却が不調に終わったときには、当該不動産の購入ができなくなるケースが出てきます。
そこで、実際の不動産取引では、別の不動産の売却が不調に終わった場合には、買主は不動産を購入する契約を解除し、契約を白紙に戻すことができるという特約を盛り込むことがあります。
こうした特約を「買い換え特約」と呼んでいます。
「買い換え特約」への明記事項
「買い換え特約」は、買主が一定の場合に解除権を行使することを認める特約です。
そのため、「買い換え特約」では下記の事項を明記しておくのが望ましいといえます。
1.買主に解除権が発生するための具体的な条件を明記する。
(どのような物件がいくらで、いつまでに売却できないときに、買主に解除権が発生するのか等)
2.買主が解除権を行使した際の売主の義務の内容を明記する。
(売主が契約締結時に受領した手付金や代金を返還するか否か等)
3.買主が解除権を行使した際の買主の義務の内容を明記する。
(買主に損害賠償義務が存在しないこと等)
「買い換え特約」の条項(参考)
1.買主は、買主が所有する〇〇市〇〇町〇丁目〇番地所在の不動産(以下、「買替不動産」という)の売却代金をもって、本物件を購入するものとする。
したがって、買替不動産が〇〇年〇月〇日までに金〇〇〇〇万円以上で売却できなかった場合、または買主が売却代金を受領できなかった場合には、買主は本契約を無条件で解除できるものとする。
2.前項によって本契約が解除された場合、売主は受領済みの金員全額を無利息で速やかに買主に返還するものとする。
3.第1項によって本契約が解除された場合、第〇条(手付解除)および第〇条(契約違反による解除)の規定は適用しないものとする。
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