中古住宅等を購入しようとする時、その物件の状況を専門家に診断してもらうと安心です。
その診断がインスペクションで、「家の健康診断」に相当するものです。
資格を有する専門家が実施することになっています。
「インスペクション」って何をするの。
既存建物の調査で「家の健康診断」です。
インスペクションの実施方法は
新しくスタートしたインスペクションは、どのように実施されるのでしょうか。
不動産の売買を不動産業者に依頼すると、「媒介契約書」を締結します。
媒介契約には、一般、専任、専属専任という3種類の方法がありますが、どの方式を採用しても基本的なことは同じです。
それぞれの方式の媒介契約を締結する時は、それぞれの「媒介契約書」をかわします。
この契約書の中に、『建物状況調査を実施する者のあっせんの有無(有・無)』という項目がでてきます。
不動産売買の仲介業者である不動産業者は、売買当事者である売主又は買主から「建物状況調査」を依頼された場合は調査事業者をあっせんしなければなりません。
インスペクションは、既存建物の健康診断に相当するものですから、建物の状況を把握してうえで売買することは価値あることです。
建物の買主としてのメリットは、
●欠陥住宅等をつかむリスクを押さえられる
●将来のメンテナンス計画を立てられる
●住宅の資産価値を保つための「家の履歴書」として残すことができる 等
また、建物の売主としてのメリットは、
●住宅のコンディションを明らかにできて、取引がスムーズに実施できる
●売却後の不具合によるトラブルを防げる 等
が考えられます。
インスペクションを実施してもらうことにより、既存の住宅状況を熟知した上で売買できることは、安心して既存の住宅、マンションを購入できることにつながります。
インスペクションを実施する人
インスペクションを実施する人を、「既存住宅状況調査技術者」といいます。
この技術者は、一級または二級建築士、木造建築士の資格を有する人が、「既存住宅状況調査技術者講習制度」の登録を受けた人です。
この講習制度を実施する団体等も、静岡県であれば「(公社)静岡県建築士会」等です。
したがって、建築士の資格を有する専門家が特別の講習を受講して登録をした人がインスペクションを実施することになります。
「建物状況調査」は、既存住宅等の不動産の売主または買主があっせんを希望すると仲介に入った不動産業者から紹介されることになります。
不動産業者は、建物状況調査の制度の紹介ののち、あっせんの希望があれば調査事業者を紹介していくことになります。
専門家に状況調査を実施してもらい、既存の建物の状況を把握したうえで売買をしていくことは、売主、買主、双方が納得のいく売買になっていくと考えられます。
インスペクションでの調査項目(戸建住宅)
戸建住宅でのインスペクションはどんな箇所をどんな方法で調査するのでしょうか。
共通的な検査対象と項目で見ていきたいと思います。
まず検査方法ですが、目視、触診、打診、計測、通水等で実施されます。
次に、検査の観点として大きく次の3点について実施されます。
(1)構造耐力上の安全性に関するもの
(2)雨漏り・水漏れの発生またはその可能性
(3)設備配管に日常生活に支障のある劣化がないか
次に、検査の観点の対象部位と検査内容ですが、次のようになります。
(1)の構造耐力上の安全性に関しては
・小屋組、柱・梁、床、土台・床組等の劣化の状況
・床、壁、柱の傾斜の実測
・基礎の欠損や腐食 等 について検査します。
(2)の雨漏り・水漏れに関しては
・屋根が外壁の欠損やずれの状況、シーリング材や防水層の状況
・屋外に面したサッシの隙間や破損、シーリング材や防水層の状況
・小屋組、天井、内壁の雨漏りや水漏れの状況 等 について検査します。
(3)設備配管の劣化状況については
・給水管、給湯管の赤水の発生、水漏れの状況
・排水管の詰まりや水漏れの状況
・換気ダクトの脱落や接続不良による換気不良 等 について検査します。
これらの検査対象は、人間でいえば骨格、筋肉、神経、血管等に相当するもので、建物の根幹になる部位です。
この部位の状況を専門家に調査してもらうことは、適切な判断のもと安心して売買ができることにつながっていくものと思われます。
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