マンション建て替えのための第1段階である建替えの提起のための検討を行う「準備段階」が終了すると、第2段階である「検討段階」に入ります。
検討段階では、総会において、建替えの検討についての議案が提起されます。
議案では、
①建替え等による改善の必要性や建替えの構想
②修繕・改修との比較などを検討する組織を設置すること
③検討に係る費用を管理組合予算から支出すること
についての審議がされ議決が諮られます。
成立すると、管理組合として建替えについての正式検討が開始されることになります。
検討組織の設置にあたっては、組織の目的や役割を明確にした上で、参加者を募り、この中から組織のリーダーや主要役員を選出することになります。
組織の運営にあたっては、理事会との連携を図ることや、全区分所有者に対して会議を公開とし、誰もが話を聞けるようにするなど、オープンな運営を行うことが重要になってきます。
検討組織の目標
検討組織では、合意形成を円滑に行うために、最初から「建替えありき」で検討するのではなく、建替え等による改善の必要性、建替えと修繕・改修との比較を行うなどして建替えの必要性を確認することが重要になってきます。
その上で、管理組合として建替えを計画することの提案を行い、合意を得ることを目標とします。
こうした組織の活動目的を確認し、区分所有者にその目的を周知しておきましょう。
検討の結果、管理組合として推進する方向性は、建替えではなく修繕・改修が決議されることもあり得るということを理解し、周知しておく必要があります。
専門家の選定
検討段階においては、建替え等による改善の必要性、建替えの構想や修繕・改修との比較等の検討を行いますが、このような活動には、専門的な情報や検討が必要となってきます。
区分所有者が独自に専門的な情報を入手し検討を行うことには限界があります。
そこで、外部の専門家の協力を得ながら検討を行うようになります。
専門家の選定にあたって、依頼する業務内容や募集条件などを定めた上で、候補者を抽出します。
その中から、最も相応しいと考える専門家を選びます。
専門家の選定条件を事前に決めておき、公開性・透明性のある手続きで選定することが重要になります。
専門家を選定し終えると、契約書を書面で交わすことが大切です。
専門家に求める役割としては、大きくは次の4点が挙げられます。
◆建物診断を行い、修繕・改修による改善可能性についての検討
◆建替えの事業性、建替えの構想の検討
◆建替えと修繕・改修との比較検討に対する専門的支援
建替え構想の策定と建替えか修繕・改修かの検討
区分所有者が期待する住宅の水準や住まい方を実現する上では、建替えと修繕・改修のどちらが必要であるかを検討することが重要です。
こうした検討の段階を踏むことが、区分所有者の合意形成を円滑に進めることにもつながります。
手順としては、まず建物の老朽度を客観的に 把握するとともに各区分所有者が現在のマンションに抱いている不満、期待する住宅の水準や住まい方等のニーズを把握します。それらを踏まえて、要求改善水準を設定します。
その上で、建替えと修繕・改修とのメリット、デメリット、改善効果や所要費用等についての検討を総合的に行い、建替えの必要性を確認していきます。
建替え構想案として検討すべき内容(例)
◆建替えの基本的考え方
◆空間の整備方針
◆配置計画図の構想イメージ
◆建物計画の構想イメージ
◆施設計画・共用部分計画の構想イメージ
◆事業手法の考え方
◆事業性の分析・大まかな費用負担額(概算額) 等
建替え推進決議(建替えを計画することの合意)
建替えと修繕・改修それぞれの場合の改善効果と所要費用の比較結果を受けて、多数の区分所有者の理解が得られてきた時点で、検討段階の最終目的である建替えを計画するかどうかの合意形成を行います。
建替えを選択する場合、「管理組合として、建替え決議に向けて本格的に建替え計画の検討を行っていく」旨を理事会が議案として提起し、管理組合の総会において決議を行うこととなります。
これを一般に「建替え推進決議」と称しています。
区分所有法で定められている手続きではありませんが、こうした決議行い、合意形成を着実に進めていくことが望ましいと考えられています。
決議にあたっては、第3段階である「計画段階」における組織の設置、活動費用の拠出について議案として提起します。
また、建替えの必要性について検討成果をとりまとめて示します。
集会の議事として提起し、議決を受ける必要があるのは以下の2点になります。
1.建替え決議にむけて、建替え計画の検討をする組織に関する事項
2.建替え決議にむけた建替え計画の検討に要する資金の拠出に関する事項
コメント