「 i 不動産 」トップページ へ!

貸主の修繕義務と借主の修繕権

賃貸物件の修繕 不動産関連法規

ある賃貸物件を借りて食堂を経営していたが、ある日屋根裏から雨漏りがしてきたので大家さんに修繕を求めたが直してくれませんでした。

このままでは、営業に支障をきたすので、自分で直そうと思っています。

自分で直すことは構わないのか、また、修繕費は後から大家さんに請求できるのでしょうか。

改正民法の趣旨

専門家の判断によると、改正民法の趣旨から上記のケースは、賃貸借契約に他に特約が無ければ、自分で直してかまわないことになるそうです。

また、修繕費用を後から大家さんに請求できるし、大家さんが払わなければ、家賃と相殺も可能だということです。

ただ、大家さんと紛争になる可能性はありそうです。

いくつかの課題

1つの目の課題は本当に修繕が必要か否かの判断は、いつ、どこで、だれがするのかがあります。

修繕が必ずしも必要でないのに修繕を求めるのは、一種の権利の乱用になります。

2つ目の課題は、仮に客観的に修繕が必要だとしても、借主がその必要な範囲を超えて修繕をしてしまった場合はどうなるのかです。

どこからどこまでが客観的に修繕の必要があった費用で、どこからがそれを超える費用なのかをどのように判断するのかがあります。

例えば、家賃月額5万円で、雨漏り防止工事が100万円かかると見積りされた工事の場合、貸主は、経済的理由から修繕義務を負わない又は拒絶できると考えられ、判例でも認められてきました。

借主修繕権は小修繕に限るとの特約

借主に付与する修繕権の範囲を「特約」で定める方法があります。

例えば、「借主が修繕権を有するのは小規模修繕に限る、それ以外の修繕については貸主の承諾が必要」と特約することが考えられます。

最近の賃貸借契約書の条項(参考例)

(契約期間中の修繕)

第  条 甲(貸主)は、乙(借主)が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合の修繕に要する費用は、乙の責めに帰すべき事由により必要となったものは乙が負担し、その他のものは甲が負担するものとする。

2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ、その旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は、正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を拒否することができない。

3 乙は、本物件内に破損箇所が生じたときは、甲にその旨を速やかに通知し修繕の必要について協議するものとする。その通知が遅れて甲に損害が生じたときは乙は、これを賠償する。

4 前項の規定による通知が行われた場合において、修繕の必要が認められるにもかかわらず、甲が正当な理由なく修繕を実施しないときは、乙は自ら修繕することができる。この場合の修繕に要する費用は、第1項に準ずるものとする。

5 乙は、本項第一号から第七号に掲げる修繕は、甲への通知及び甲の承諾を要することなく、自らの負担において行うことができる。

一 畳の取替え、裏返し

二 障子紙の張替え、ふすま紙の張替え

三 電球、蛍光灯、ヒューズ、LED照明の取替え

四 給水栓、排水栓の取替え

五 蛇口のパッキン、コマの取替え

六 風呂場等のゴム栓、鎖の取替え

七 その他費用が軽微な修繕


『 i 不動産』のホームページへ ❣

コメント