各区分所有者から徴収する管理費等について滞納が長期化すると、管理組合会計の収支が圧迫されて、管理業務が予定通りに実施できずにマンションの保全に影響を及ぼしてきます。
したがって、未収入金の徴収は積極的な対応が必要になってきます。
区分所有法では、「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と規定しています。
管理組合の対応
管理費及び修繕積立金は、マンションを適正に維持・管理するための財源です。
管理規約や総会決議で定められた額を、各区分所有者から確実に徴収することが重要になってきます。
滞納対策として、滞納住戸を把握するために未収金明細書等を月次で作成することが必要です。
平成30年度の国土交通省マンション総合調査では、3ヶ月以上の管理費等の滞納が発生しているマンションは、全体の24.8%という高い数字になっています。
滞納への対応は、マンションにとってきわめて重要な課題になっています。
滞納防止対策
管理組合は、管理費等の使途を区分所有者に十分説明し、理解を得ることが重要になってきます。
管理規約では、マンションの管理や使用等を定めていますが、さらに、情報誌等を通じて管理費等の目的に関する記事を掲載するなど日常における区分所有者への啓蒙活動が重要になってきます。
また、管理規約における徴収時期や支払方法などの徴収方法が不十分な場合は管理規約を改正する必要があります。
国土交通省は、管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について、段階的にまとめたフローチャートとその解説を発表していますが、短い期間で滞納者を確認し催促を迅速に行うことが最も大事だと思われます。
滞納の処理
滞納が発生する原因としては、下記のようなケースが考えられます。
- 生活困窮、破産・倒産
- 行方不明
- 管理組合への不満
- 分譲業者への不満
- 管理会社への不満
- 業者の買取・転売予定
- 分譲業者の未売却 等
このような未収入金が発生した場合は、催促した日時、内容、約束等について、民事訴訟法上の有効な証拠となる場合があるため、「催促業務実施記録簿」として記載・保管することが重要になってきます。
催促は、滞納が発生して1~4ヶ月程度は、電話催促、書面催促、自宅訪問が中心となり、5ヶ月以上になると、内容証明郵便催促、支払催促の申立て、少額訴訟の提起等へとなっていき弁護士等との打合せが必要になってきそうです。
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