静岡、山梨、神奈川県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」は、富士山の噴火被害を想定したハザードマップ(危険予測図)の改定版を公表しました。
大規模噴火シミュレーションでは、富士川沿いの静岡市清水区や沼津市、清水町に溶岩流が到達するなど、静岡県内では計10市町に災害が広がる可能性を示しています。
同協議会はマップの改定に伴い2021年度、3県の状況を踏まえた噴火時の広域避難計画の見直しに入ることになります。
富士山はいつ頃噴火する?
日本には111の活火山があって、富士山はその1つに当たります。
富士山は、8世紀以降、少なくとも10回の噴火を繰り返してきたということです。
最寄りの噴火は、1707年の「宝永噴火」で、約300年以上噴火していないことになります。
気象庁は、宝永噴火の規模であれば事前に大きな地殻変動を観測できるのではないかと想定しているようです。
ただ、どれくらい前に捉えられるかは未知数です。
東日本大震災の直後に富士山の直下で地震活動が活発になって、緊張が高まったこともありました。
また、南海トラフ地震のような海溝型地震との連動も心配なことです。
富士山ハザードマップの改定
ハザードマップの改定は2018年から3年間を要しています。
大規模噴火の溶岩流は、過去5600年間で最大規模の噴火を基にして、想定される流出量を算出して行われました。
噴火して2時間以内に富士宮市の市街地や御殿場市の郊外にまで溶岩が流れ込み、1日以内に裾野市や富士市の市街地に達するということです。
最終的には富士市の駿河湾まで届くほか、富士川河口の静岡市清水区や黄瀬川下流の沼津市、清水町にまで届くようになります。
融雪型火山泥流は、御殿場市や小山町の庁舎に短時間で流れ着いたり、富士市内の東名高速道路やJR東海道線を超えて海にまで達したりしたということです。
検討委員会委員長の藤井敏嗣氏によると、今回の改定のきっかけは、最近の調査・研究で噴火可能性のある火口がこれまでの想定よりも市街地に近い場所になったからだということです。
実際の噴火では、想定範囲のどこで火口が開くかによって、また規模によって、溶岩流の経路や到達点・到達時間は変わってきます。
行政は今後このハザードマップをもとに、さまざまな条件を想定した上で、広域避難計画や各地の防災計画を見直すことが必要になってきます。
気象庁や研究機関は観測機器を展開し、噴火の前兆を捉えようとしています。
しかし、富士山に特徴的な粘り気の少ない玄武岩マグマの場合、明確な前兆をつかんでから噴火までは、数時間から数日程度と思ったほうがよいということです。
噴火によってどんな現象があるか、規模が違うと影響の及ぶ範囲はどのように異なるか、自分に影響が生じる噴火はどの部分に火口ができる場合なのかなどを考えてほしいということです。
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