熱海で起きた大規模土石流災害では、災害関連死を含め27人が死亡、1人が行方不明という大惨事になりました。
原因は、不適切に造成された盛り土の崩壊です。
盛り土は、現場の土地用途によって適用される法律が変わり、規制が緩い自治体で危険な造成が行われるケースが多いということです。
伊豆山の災害では、盛り土内から神奈川県内自治体の指定ゴミ袋が見つかり、県境を越えて搬入された可能性が高いということです。
土石流危険渓流
国土交通省によると、土石流災害が起きる可能性がある「土石流危険渓流」は全国で183,863か所に上るということです。
こうした渓流には、土砂災害防止のため砂防ダムが設置されますが、国や自治体が砂防ダムを整備している割合は2割に満たないということです。
静岡県では、危険渓流4,247カ所のうち、砂防ダムが設置されているのは約1割の559か所のみです。
今回の伊豆山では、土石流の起点から約400m下流に県が設置した砂防ダムがあったということです。
高さ10m、幅43mで、せき止められる土砂の量は4,200トンで、伊豆山の土石流は大量でダムをやすやすと乗り越えてしまったと見られています。
盛り土規制法の成立
伊豆山の大規模土石流災害を教訓に、「盛り土規制法」が成立しました。
本年7月から施行されます。
都道府県などが盛り土の崩壊で住宅に被害が出る可能性のある場所を「規制区域」に指定します。
規制区域の盛り土造成は、許可制になり、違反は厳罰化されます。
区域内の宅地造成などは、排水設備などの要件を満たさなければ許可されないようになります。
自治体は、工事途中や完了時に安全性を検査し、問題があれば改善命令を出すことになります。
現行、罰金の上限が50万円でしたが、個人1千万円、法人3億円まで引き上げられます。
建設残土の処置
建設工事に伴い発生する建設残土は産業廃棄物ではないため、原則再利用することになっています。
しかし、有効利用されない残土が、不適切な盛り土になっている実態もあります。
静岡県では、一定規模以上の土量については、土量を記載した管理台帳の作成や、土壌、水質の定期的な検査を求めることになりました。
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