不動産の賃貸は、貸手と借手の関係が契約期間中継続することから各種の問題が発生する可能性があります。
不動産賃貸の流れの中から、契約時の問題、退去時の問題など、どのような点に注意するべきなのかを見ていきたいと思います。
住まいを貸したい時はどうする?
安心して住まいを貸すためには、住まいを貸すときの全体の流れを理解しておくとスムーズに行えます。
流れの理解の前に、下記の点は明確にしておきたいものです。
(1) 住まいを貸す理由
(2) 貸す予定の期間
(3) 将来その住まいに住むつもりはあるのか 等について整理しておきましょう。
例えば、将来住む予定がなく貸し続けるつもりなら、通常の普通借家契約、いずれ自分が戻って住むつもりなら、契約の終了が確実な定期建物賃貸借契約も選択肢として考えなくてはなりません。
また、住む予定がない場合は賃貸ではなく、売却を検討する必要があるかもしれません。
住まいを貸すには、将来を見据えて「貸す理由」をしっかりと整理することが重要になってきます。
これらの整理が終わったら、貸すまでの全体の流れを把握しましょう。
全体の流れを知ることで、いつ、何をするのかが明確になり、スムーズに行動することができます。
最初は、いくら程度で貸せそうかの目安を立てることです。
住まい周辺の募集等やネット検索で賃料の調査から始めましょう。
次に、住まいを貸せば賃料が収入として入ってきますが、税金や管理費などの支出も考慮する必要があります。
おおよその収入と支出がどのようなバランスになるのかを試算しておきます。
収支の試算が終了して、借主の募集を不動産会社に依頼する場合は、賃料の査定も依頼します。
入居者の募集を依頼する場合は仲介業務を、入居後の管理を依頼する場合は管理業務を不動産会社に依頼します。
入居希望者からの問い合わせや物件見学、入居希望者との条件交渉なども行いますが、不動産会社に仲介を依頼している場合には、これらの業務を不動産会社が行います。
入居者の決定は、あくまでも貸主です。
入居申込者の審査をし、最終的な決断をします。
その後、入居者と賃貸借契約を結ぶことになります。
不動産会社に仲介を依頼している場合は、不動産会社が入居者審査や契約手続きをサポートしてくれます。
契約を結んで入居した後は、入居者からの賃料の受け入れ、入居者の苦情対応、物件の清掃などの管理を行います。
また、契約期間が終了したときの契約更新や退去手続き、退去後の入居者の募集などにも対応しなければいけません。
不動産会社に管理業務を委託した場合は、管理業務も不動産会社が実施してくれます。
不動産賃貸の仲介手数料
宅地建物取引業法により、不動産の賃貸における不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限があります。
したがって、不動産会社が上限を超える仲介手数料を受け取った場合は、法令違反となります。
法令で定められているのはあくまでも上限ですので、当然に上限の額を請求できるということではありません。
仲介手数料は賃貸借契約が成立して初めて発生するものです。
居住用建物の場合の仲介手数料は、依頼者の承諾がある場合は、いずれか一方から賃料の1か月分以内を受けることができるとなっています。
また、この場合も貸主、借主の両方から受け取ることのできる仲介手数料は、1か月分を超えてはいけないことになっています。
なお、賃貸借契約が成立するまでは、原則として、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
また、通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。
例えば、一般的に行われる広告費用や入居希望者の案内にかかる費用は、賃貸借契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。
ただ、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の実費については、請求することが認められています。
特に、賃借の仲介では根拠のない広告費等を請求されることもありますので注意したいものです。
連帯保証人がいなかったらどうする?
賃貸借契約では、連帯保証人が必要とされる場合が一般的です。
しかし、連帯保証人が見つからない場合でも、住まいを借りる方法はあります。
そもそも連帯保証人は、借主と連帯して賃料支払いなどの債務を負担することになっています。
したがって、借主が家賃を滞納したときには、借主に代わって賃料を支払わなくてはならず、貸主からの請求に対して支払いを拒否することはできません。
なお、借主は連帯保証人を依頼する場合、書面による契約を結ぶ必要があることになっています。
連帯保証人は1人の場合が一般的ですが、家族構成や借主の年齢などによっては2人必要とされる場合もあります。
また、未成年の単身者が住まいを借りる場合には、親が契約者となり親族を連帯保証人に立てる場合や親の同意を得て未成年者が契約者となり親を連帯保証人に立てるなど、不動産会社や貸主によって契約方法が異なります。
契約形態については、事前に確認する必要があります。
最近では連帯保証人を立てる代わりに、家賃保証会社による保証を利用できる物件が増えています。
家賃保証会社の場合、借主が家賃保証会社に一定の保証料を支払うことで、万が一、借主に賃料などの不払いが発生した場合でも、家賃保証会社が賃料を保証します。
連帯保証人がいない場合は、あらかじめ不動産会社に伝えた上で、家賃保証会社の利用を前提に住まいを紹介してもらうことも可能です。
家賃保証会社を利用する場合の手続きは、入居の申し込み手続きと並行して行われる場合が多いようです。
家賃保証会社との契約期間は、賃貸借契約と同じ期間に設定されることが多く、保証料は、家賃の何%という割合などから決められます。
ただし、保証契約の内容や家賃保証会社の対応をめぐってトラブルが発生することもありますので、家賃保証会社の利用に当たっては、事前に契約内容などをしっかりと確認することが重要となります。
賃貸借契約のチェックポイント
賃貸借契約後のトラブルを回避するためには、契約条件が正確に契約書に反映されているかをしっかりと確認することが大切です。
以下に、賃貸借契約の一般的な項目とそのチェックポイントを見ていきましょう。
疑問点があれば、不動産会社に納得できるまで確認するようにしましょう。
(1)契約期間と更新の定め
契約種別が普通借家か定期借家かの違いを確認した上で、契約期間を確認します。
その上で、契約の更新手続きや更新料の有無を確認するようにしましょう。
更新料が必要な場合は、金額、支払い条件なども確認しておきます。
(2)賃料や管理費の額、支払い、滞納時のルールなど
賃料や管理費の額と支払い方法、支払い期日を確認します。
多くの場合は、振り込みや自動引き落としで、翌月分を前月末日までに支払うことになっています。
また、滞納時に延滞金が必要な場合には、延滞利率についても確認しておきましょう。
また、賃料の改定についての取り決めがある場合には、その内容も確認しておきます。
(3)敷金など
敷金などが必要な場合は、その金額と返還に関する具体的な手続きなどを確認します。
特に、敷金と退去時の原状回復費用との精算をめぐるトラブルは多いので、原状回復に関する取り決めも含めてしっかりと確認するようにしましょう。
(4)反社会的勢力の排除
不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、反社会的勢力排除のための条項が導入されるようになりました。
国土交通省が平成24年2月10日に公表した「賃貸住宅標準契約書」では、「貸主及び借主が、暴力団等反社会的勢力ではないこと」などを確約する条項を盛り込んでいます。
契約書の中にこうした条項が記載されているか確認しましょう。
相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。
(5)禁止事項
禁止事項の例としてはペットの飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用、勝手に他人を同居させること、無断で長期不在にすること、危険物の持ち込みなどがあります。
違反した場合、退去を求められることもありますから、よく確認しましょう。
(6)修繕
入居中の物件の修繕に関する取り決めは、通常の物件の使用に必要な修繕は貸主が行うことになっていますが、借主の故意や過失による修繕は、借主が行うことが一般的となります。
(7)契約の解除
貸主からの契約解除の要件などが取り決められています。
例えば、賃料などを滞納した場合、借主が禁止事項に違反した場合などが挙げられます。
(8)借主からの解約
借主からの解約について、解約通知の期日や具体的な手続きを確認します。
不動産会社によっては、あらかじめ解約通知書のひな形を契約書に添付している場合もあります。
(9)原状回復の範囲と内容
賃貸借契約で最もトラブルになりやすいのが原状回復にかかわる取り決めです。
トラブル回避のためには、原状回復に関する取り決めをできるだけ明確にしておくことが大切です。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復に関する取り決めを具体的に明記するように改訂されています。
(10)特約事項
貸主の事情により、特約事項が付されることもありますが、「原状回復にかかわるすべての費用は借主負担とする」など、一方的に借主に不利な条項が記載されている場合もありますので、確認する必要があります。
賃貸借物件における退去と原状回復
賃貸借物件退去時の原状回復に関してはトラブルが多いため、契約締結前に、原状回復にかかわる契約内容をしっかり確認することが重要です。
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を以下のように定義しています。
原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損を復旧すること。」をいいます。
なお、ガイドラインでは、建物の損耗等の復旧にかかる負担を分かりやすくするために、損耗等を以下の3種類に区分しています。
(1)建物・設備等の自然的な劣化・損耗等で、時間が経つに連れて自然に劣化、損耗するもので、一般には「経年変化」といわれるものです。
(2)借りた人の通常の使用によって生ずる損耗等で、「通常損耗」といわれるものです。
(3)それ以外で、借りた人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等 に分けられます。
例えば、結露のように、発生すること自体は仕方ない現象でも、それを放置して適切な手入れをしないがために、カビなどの被害を拡大させたという場合などは、善管注意義務に違反したとして、借主の責任とされる可能性があります。
ガイドラインでは(3)の損耗のみを借主が負担すべきとしています。
次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォームについては、(1)(2)の経年変化及び通常使用による損耗等の修理ですから、貸主が負担すべきこととなります。
また、このほかに、震災等の不可抗力による損耗、上階の居住者など、借主とは無関係な第三者がもたらした損耗等については、借主が負担すべきではないとしています。
また、トラブル回避のため、以下の点にも注意するようにしましょう。
原状回復をめぐるトラブルの大きな原因として、入居時の物件確認が不十分であることが挙げられます。
特に賃貸借の期間が長期に及ぶ場合には、時間の経過に伴って、入居時の状況や損耗の程度などがあいまいになるため、退去時の責任の所在等がはっきりしなくなることが考えられます。
そのため、入居時に、室内の現況、損耗等などの記録を残して、貸主、借主双方で確認しておくことがトラブル回避のためには有効となります。
契約時には、ガイドラインに沿って原状回復義務の範囲を定めるようにしましょう。
なお、ガイドラインでは、借主に原状回復にかかわる特別の負担を課す特約の要件を以下のように定めています。
これらの要件を満たさない場合には、特約が無効となる可能性もあるとしています。
(1)特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
(2)賃借人が特約によって、通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
(3)賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
国土交通省も退去時の原状回復に関してのトラブルが多いため、ガイドラインで考え方と方向性を示している状況です。
契約締結前に、原状回復にかかわる契約内容をしっかり確認することが重要だということです。
普通借家契約と定期借家契約
契約期間を決めるに当たっては、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いをしっかり理解しておく必要があります。
【普通借家契約の主なポイント】
1.契約期間は1年以上で設定しますが、通常は、契約期間を2年とすることが多いようです。
なお、契約期間を1年未満とした場合には、期間の定めのない契約となりますから注意が必要です。
2.借主からの中途解約については、中途解約に関する特約を定めることができます。解約の予告期間を定めたり、直ちに解約する場合に支払う金銭の額について定めていることが多いようです。
3.貸主からの解約については、借主が引き続き住むことを希望している場合には、貸主からの解約や、契約期間終了時の更新の拒絶は、貸主に正当な事由がない限りできません。
したがって、普通借家契約の契約期間は貸主の事情と借主の意向に左右されることになります。
【定期借家契約の主なポイント】
1.契約期間は、契約の更新がない契約で、契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができます。
なお、契約期間は自由に定めることができます。
2.契約の締結方法は、契約期間を確定的に定めた上で、公正証書等の書面によって契約することが必要です。
また、契約書とは別にあらかじめ書面を交付して、契約の更新がなく、期間の満了とともに契約が終了することを借主に説明しなければなりません。
貸主がこの説明を怠ったときは、その契約は定期借家としての効力はなくなり、普通借家契約となります。
3.中途解約は、居住用建物の定期借家契約では、契約期間中に、借主に転勤、療養、親族の介護など、やむを得ない事情が発生し、その住宅に住み続けることが困難となった場合には、借主から解約の申し入れができます。
この場合、解約の申し入れの日から、1ヶ月が経過すれば、契約が終了します。
ただし、この解約権が行使できるのは、床面積が200㎡未満の住宅に居住している借主に限られます。
なお、中途解約に関して個別に特約を結ぶことは可能です。
4.契約終了時は、契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主に契約が終了することを通知する必要があります。
なお、貸主と借主が合意すれば、再契約することは可能です。
5.普通借家契約の定期借家契約への切り替えは、定期借家制度は、平成12年3月1日から施行されていますが、それより以前に締結された住宅の普通借家契約は、借主を保護する観点から、借主と物件が変わらない場合、当分の間、定期借家契約への切り替えは認められていません。
以上が、普通借家契約と定期借家契約の違いとポイントですが、借家契約を締結する場合はそのポイントを把握した上で実施することが重要になっていきます。
賃貸借契約の更新はどうする?
普通借家契約の場合には、通常は契約を更新することが可能です。
契約を更新する場合、更新の連絡時期などの手続きや必要な書類、費用などを事前に確認し、必要な手続きを進めることになります。
なお、契約満了の3ヶ月~1ヶ月前くらいに、不動産会社あるいは貸主から、「契約更新についてのお尋ね」などの書面が、送られてくることもあります。
賃貸借契約の更新に際して、借主から貸主に支払われる費用を更新料といいます。
更新料がある場合、金額は契約次第ですが、更新後の新賃料の1ヶ月分という例が多いようです。
貸主に支払う更新料とは別に、管理を行う不動産会社から、更新手数料を請求される場合があります。
不明確な請求であれば、納得できるまでしっかりと確認することが大事です。
契約更新時の手続きは、当初の契約書や印鑑などを準備しなくてはならない場合も多くあります。
入居者、連帯保証人に変わりがない場合でも、再度、詳しい書類などが必要な場合もあります。
また、契約時に加入した損害保険は、賃貸借契約期間に合わせて保険期間を定めることが多いので、更新時に再加入することが一般的です。
保険料も再度必要になりますから、金額を確認して用意することになります。
賃貸借契約書には、賃料の改定に関する条項があり、契約に定める条件を満たす場合はいつでも賃料改定が可能であることが一般的ですが、実際には契約更新時に賃料改定が行われることが多いようです。
契約の更新に当たっては、賃料改定に関する条項を再確認するとともに、不動産会社や貸主からの通知などで、賃料改定の有無を確認しておきましょう。
定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間が満了したら、契約は終了します。
しかし、借主、貸主双方が合意すれば、新たな契約をして住み続けることも可能です。
賃貸借を更新する場合の契約も落ち度のないようにやっていきましょう。
トラブル回避!入居時の対応
トラブルは退去時が最も多いのですが、それを防ぐには入居時に注意することである程度回避できます。
そのためには、入居後すぐに室内の現況を確認し、記録を残しておくことが大切です。
賃貸借の場合、通常物件の引き渡しに不動産会社、貸主が立ち会うことは少ないです。
退去するときの修繕費用をめぐってのトラブルは、損耗・損傷が入居時からあったものか否かなどの事実関係が判然としないことが、大きな原因となっています。
トラブルを回避するためには、入居時と退去時に、借主、貸主双方が立ち会って、室内の現況を確認することがベストです。
ただ、入居時の立ち会いはあまり一般的ではないのが現状なので、トラブルを避けるためには、入居者本人が自分で記録を残しておく必要があります。
床や壁など、家具を配置すると見えなくなってしまう部分については、引っ越しの前に確認をしておくとよいでしょう。
現況確認では、壁や床の汚れや傷、設備や給排水の状況など確認しておきたい場所は多岐に渡ります。
見落としがないよう、一覧表を作って、細かくチェックしましょう。
また、汚れや傷など、口頭や書面で説明しにくいものについては、日付を入れた写真を残しておくと確実です。
設備や給排水の状況など、実際に使ってみないと不備、故障などが分からない部分については、できるだけ早い時期に使うように心掛けましょう。
なお、不動産会社によっては独自に設備の状況に関するチェックリストを作成し、借主に提出を求めている場合もあります。
エアコンや給湯機などが部屋に設置されているなら、使用できる状態に修理するのは、基本的に貸主の負担になります。
無断で修理をしてしまうと、トラブルになることもありますから、注意が必要です。
また、借主が設置した設備の修理は、当然に借主が行うことになります。
雨漏りやカビ、結露の発生についても、見つけたらすぐに、不動産会社あるいは貸主などに連絡しましょう。
放置して被害を拡大させてしまうと、入居者の責任になることがあります。
また、騒音や近隣、他の入居者とのトラブルに関しても、不動産会社あるいは貸主に相談するようにしましょう。
以上、最も多い退去時のトラブルを避けるためには、入居時に出来るだけのことをしておくことが重要になってきます。
賃貸中に苦情が発生したら?
借主からの苦情を放置しておくと、問題が拡大してしまうこともあります。
苦情が発生した場合は、原因を早急に特定して、適切な対応をすることが大切になってきます。
借主からの苦情に対応するのは、基本的には貸主ですが、入居者管理を不動産会社に委託している場合には、不動産会社が対応してくれます。
借主には、あらかじめ苦情内容に応じた連絡先一覧などを提示し、対応先を明らかにしておくことがトラブル対応の第一歩となります。
苦情が発生したら、まずは苦情の原因を特定し、契約の取り決めなどから貸主か借主のいずれで対応すべきかを適切に判断することが大切です。
苦情対応の基本は、できるだけ迅速に手配を行うということが重要です。
借主の苦情は日常生活に影響することも多いことから、対応が遅れるとトラブルが拡大してしまうおそれもあります。
室内の設備の故障や不備に関する苦情に対しては、あらかじめ対応してくれる修理業者などを整理しておくと迅速な対応が可能となります。
不動産会社に管理を委託している場合でも、念のため、修理業者などについて確認しておくとよいでしょう。
修理に当たって、修理業者から工事への立ち会いを求められた場合は、入居者と相談して、貸主または借主のいずれかが立ち会うことになります。
また、近隣とのトラブルの中で、最も多いのは音の問題です。
特に集合住宅の場合は、隣戸や上階とのトラブルが多くなります。
この場合、貸主が住戸を所有している場合は、貸主または不動産会社から、トラブルの原因である借主に注意するなどの対応が必要となります。
近隣の住民から借主に対して、苦情が寄せられることもあり得ます。
その場合には、借主にすぐに注意を促すようにしましょう。
また、再三の注意にもかかわらず、借主がルール違反を続けるようであれば、貸主は契約の解除も視野に入れた対応が必要になることも考えられます。
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