いつ崩れるかとひやひやするような廃墟とした空き家が全国各地で見られます。
解体やむなしと判断した自治体が、是正指導や勧告に従わない所有者に代わって強制的に実施することもあります。
解体に要した費用は
山陽のある市で実施された廃墟とした住宅解体に要した費用は460万円でした。
朽ちた木造2階建ての民家(延べ床面積約83㎡)は、町中にありましたが2人が並んで歩けるしか道路幅がなくて、大型重機も使えず人力で解体していくしか方法がなかったそうです。
要した費用は、所有者側から回収できる見込みはほとんどないということです。
登記簿上の建物所有者は死亡し、法定相続人も相続を放棄しています。
さらに、建物と土地の所有者が異なるため、土地処分による回収もできません。
市長は、「私有財産の処分に税金を投入するのはおかしいが、倒壊した際の影響の大きさを考えるとやむを得なかった」と苦虫をかみつぶして言ったそうです。
空き家の状況
全国の空き家は、846万戸もあります。
総住宅数に占める割合は一貫して増え続け、今や7戸に1戸は空き家です。
この内、一戸建ては38%、共同住宅が56%となっています。
国は2015年に空き家対策特別措置法を施行し、危険を伴う空き家に対して自治体が強制的に取り壊す代執行をしやすくしました。
しかし、指導や勧告に至った件数に対し、代執行に踏み切ったのは僅か1%でしかありません。
やはり、解体費用の回収が容易ではなく、自治体も二の足を踏む状況です。
マンションの解体はさらに大変
関西のある市のマンションでは、鉄骨3階建て全9戸の分譲マンションが廃墟と化し、市によって取り壊されることになりました。
市長は、解体費用全額を区分所有者から回収すると言っていますが、スムーズにいく保証はないようです。
区分所有者の一人は、「自主的な解体も模索したが、連絡の取れない所有者もいて合意すら取れない」ということです。
国の調査によると、所有者不明もしくは連絡の取れない空き室があるマンションの割合は全体の約4%です。
築40年超のマンションはこれから20年後、現在の4.5倍の367万戸にもなります。
老朽化と居住者の高齢化という「2つの老い」が叫ばれているマンションでは、廃墟化するマンションの発生をどう防ぐかという課題も大きいです。
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