遺言がなく、法定相続人もいない故人の財産はどうなるのでしょうか。
「相続財産管理人」と呼ばれる人は、上記のような財産を清算する仕事をしています。
一人暮らしの高齢者の増加と共に相続財産管理人の選任は増えており、最高裁によると、2017年の選任数は2万人を突破しました。
相続財産管理人の選任
相続財産管理人は、債権者や自治体などの申し立てを受けた家庭裁判所から選任されます。
受任実績などを基に、弁護士や司法書士などが選ばれるようです。
主な仕事の内容は、官報などを通じて相続人を探したり、債権者への返済や特別縁故者への分与を進め、残った財産を国庫に引き継ぐことです。
相続人がいない時の流れ
相続人がいない時の流れは次のようになります。
①相続財産管理人選任の申し立て
②相続財産管理人選任の広告(広告期間:2か月)
③債権者および受遺者の請求申し出の催告(広告期間:2か月以上)
④相続人捜索の広告(広告期間:6カ月以上)
相続人不存在が確定(不存在が確定後3ヶ月以内)
⑤特別縁故者の相続財産分与の請求
⑥特別縁故者ヘ遺産の引き渡し
⑦残余財産は国庫へ帰属
増える一人暮らしの高齢者
相続財産管理人は、2000年代に入って選任数が急増しています。
2000年の7,639人から、2017年の2万1,130人へと約2.7倍に増加しています。
「相続人不存在」で国庫に引き継がれる金額も増加傾向にあり、2017年度は約525億円にも上っています。
背景には、やはり単身高齢者の増加があるとみられています。
内閣府によると、2015年時点で65歳以上の一人暮らしの人は約592万人ですが、2040年には896万人に増えると予想されています。
さらに、ある研究所によると、2015年の50歳時未婚率は、男性が23.4%、女性が14.1%です。
男性の4人1人、女性の7人に1人が「独り身」という状況です。
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