戸建て住宅では、所有者の意志によって建替えを実現することができます。
しかし、マンションでは多くの区分所有者が共有しているため、共同して意志決定を行うことが必要になり、個人の意志で自由に建替えを行うことはできません。
マンション建替えを成功に導いていくためには、区分所有者間で組織した管理組合が主体となって、建替え計画に対する合意を適切な手順で形成していくことが重要になってきます。
合意形成へのプロセスの3つの段階
マンション建替えの実現は、区分所有者での合意形成を図っていくと同時に建替え決議までの合意形成を適切に行うことがまず重要になります。
そのプロセスの第1段階は、建替えの提起のための検討を行う「準備段階」です。
第2段階は、建替え構想の検討を行う「検討段階」になります。
第3段階は、建替え計画を策定する「計画段階」になります。
この3つのプロセスを踏みながら、合意のレベルを着実に高めていくことが重要になってきます。
第1段階の準備段階
1.有志による勉強会の発足
一部の区分所有者が建替えを発意し、他の区分所有者へ呼びかけを行い、これに賛同する有志が集まって、建替えに関する自主的な勉強会が開始されるのが一般的です。
できれば、理事会の支援のもとに広く参加者を募集して勉強会を設置することが望まれます。
勉強会を設置するにあたっては勉強会の目的を明確にし、また、管理組合や理事会と良好な関係を築きながら活動していきます。
建替えの発意は、区分所有者が今後のマンションでの生活をどのように向上させたいのかということを考える第一歩になります。
勉強会にオブザーバーとして参加を認めたり、全区分所有者に活動の情報提供をすることも重要になってきます。
2.建替え情報の収集
勉強会では、建替えに関する情報について、既存資料や先行事例の収集などを行います。専門家等に相談して、専門的な観点からの情報提供を求めることも考えられます。
◆建替えはどのように進めるのか
◆これまでにどのような実現事例があるのか
◆どのような法規制があるか、当該マンションの法規制はどうなっているか 等
3.建替えに関する基礎的検討
収集した基礎的情報を参考にして、どのような建替えができそうなのか、基本的なイメージをつかむための検討を行います。
また、自分達のマンションの現状を考え、なぜ建替えを必要とするのか、建替えによってどのような住宅をつくりたいのかという希望などについて話し合います。
マンションの敷地に適用されている容積率等の都市計画・建築規制の内容を把握し、建替えによってどれくらいの大きさの建物を建てることができるのか、おおよそのイメージをつかんでおくことも大切です。
また、建替え費用の負担額については、ごく大まかにどれくらいの費用負担が発生するのかといった程度の事業のイメージをつかんでおくことが望ましいです。
4.建替えの検討の提起と管理組合としての検討の合意
建替えのおおよそのイメージなど、勉強会での成果を示して、管理組合として建替えを正式に検討してみてはどうかという問題提起を、勉強会から管理組合理事会に対して行います。
理事会は、管理組合として建替えを検討することの必要性を認めた場合、勉強会の成果を取りまとめて、管理組合の総会における議案として、建替え検討を必要とする理由等を示した上で、次の検討段階における検討組織の設置や活動費用の拠出方法について提起します。
総会において議決されると、管理組合として建替えを検討する段階に進むことになります。
①現在のマンションの状況、住宅・住環境に対する不満・問題点
②建替えを必要とする理由と建替えのイメージ
③建替え以外の修繕・改修による改善の可能性
④建替えはどのように進め、どのような課題をクリアしていく必要があるか 等
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