特別養護老人ホームは、原則要介護3~5の高齢者が介助を受けながら暮らす介護保険施設です。
一般に、有料老人ホームなどに比べて利用料が安いこともあって、入所できない待機者が全国に相当数います。
「一度入所したら死ぬまで自宅に戻れない」と思っている人も多いですが、在宅復帰に取り組む特養もあります。
在宅復帰に取り組む特養
この特養では、24時間対応の訪問介護や訪問看護、食事の配達などの在宅向けサービスを各種提供しています。
これらのサービスを組み合わせることで、「自宅でも特養並みのケアを受けられる。」と入所者や家族などに提案しています。
さらに、全入所者に対して、どのような介護サービスを利用すれば自宅で暮らせるのか、ケアプランも提供しています。
特養だと、食事や入浴の時間が決まっていて、生活の自由度が落ちてしまいます。
できれば自宅で暮らしたいという入所者の思いを叶えたいということです。
特養から自宅に戻れたのは1%
特養はそもそも、「可能な限り、自宅での生活への復帰を念頭に置いてケアを行うこと」と法令で定められている施設です。
しかし、自宅復帰へのプロセスに真剣に取り組んでいる施設は少ないようです。
要介護度が重い入所者の介護に精一杯の状況が現状のようです。
厚生労働省の2016年の調査では、退所理由の7割は死亡ということです。
3割は入院で、自宅に戻れたのは何と1%に過ぎないということです。
厚生労働省は、2018年度の介護報酬改定で、特養の入所者が一時的に自宅に戻り、特養が在宅サービスを提供した場合、新たな報酬を設定しました。
特養の全体数が少ないのは事実ですが、特養のあり方も工夫検討されないとこれからの高齢化社会は乗り切れそうにありません。
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