賃貸借物件における原状回復についてはトラブルも多いことから、国土交通省もガイドラインを作成して、基本的な考え方や負担方法を示しています。
しかし、色々なケースがあり、それぞれのケースでどのように対応するのか判断が難しいこともたくさんあります。
ケース1:クロスの張り替え
壁クロスの一部を借主が故意・過失等により汚染した場合、貸主は部屋全面のクロスを張り替えると主張していますが可能でしょうか。
この場合、クロスの汚染部分だけを張り替えることは社会通念上あり得ません。
クロスは壁一面について張り替えとして借主負担にするのが相当ということです。
タバコのヤニによるクロス張り替えの場合は居室全体、カーペット・クッションフロアも居室全体、フローリングは㎡単位、畳・襖・障子は1枚単位、クリーニングは住戸全体とするのが相当ということです。
タバコを吸う方は、居住空間での喫煙はやめましょう!
ケース2:特約の存在
通常損耗の補修費用については「借主負担」とする特約は可能でしょうか。
この場合、特約自体は可能で有効になります。
しかし、あまりにも借主に不利なもの、暴利的なものは無効になります。
ケース3:敷引き特約の有効性
通常損耗補修費用をあらかじめ定額に定め、退去時に敷金より差し引く「敷引き特約」は可能でしょうか。
このケースは、判例があります。
最高裁平成23年3月24日判決で、敷引特約は合法との判決が出ています。
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