「空き家予備軍」とは、65歳以上の高齢者の方だけが住んでいる戸建てとマンションの持ち家が、住人が亡くなったり、老人施設等へ入所することによって、「空き家」になる可能性が高いことをいっています。
少子化の進展や家族の在り方の変化により、家を継ぐ子供がいなくなったことも大きな要因です。
増え続ける「空き家予備軍」
高齢者だけが住む持ち家は「空き家」の予備軍と言えますが、この「空き家」予備軍が総務省の調査によれば3大都市圏に約340万戸もあり、同圏内の持ち家の2割強に達することが分かりました。
現在の空き家比率は7%ですが、このまま推移すれば将来大都市に「空き家」が溢れる状況も予測されています。
「空き家」予備軍が最も多いのは東京都で67万戸、持ち家の21%になります。
現在の「空き家」は、15万戸で5%ですから、驚異的な数字になります。
「空き家」予備軍の比率が高い自治体は、都心まで電車で通勤できる地域として1970年代に開発が進んだ、千葉の我孫子市、東京の町田市、三鷹市、東久留米市などが上位に挙がっています。
見過ごせない「空き家」
「空き家」があちこちにできる現象は「スポンジ化」と呼ばれています。
居住密度が下がると、水道やゴミ収集などの行政サービスの効率が悪化していきます。
これを防ぐ手段の一つとして、「中古住宅流通」を促進していくことが考えられます。
国土交通省によると、住宅流通に占める中古の割合は米国83%、英国87%に対して日本は15%という状況です。
背景には根強い新築指向があると思われます。
高品質な住宅に手を加えて長く住む欧米の価値観とは対照的な傾向です。
政府も経済効果を考慮して、新築購入の税優遇措置等を実施していますが、官民ともに新築偏重の姿勢から脱却する時期にきているのではないでしょうか。
空き家を活用しよう
現在、空き家の数は820万戸以上に達していて、日本に戸建している10軒に1軒が空き家ということになっています。
3大都市圏がある東京都、大阪府、愛知県に人口が多い神奈川県を加えると、全体の3割を超える空き家がこれらの都道府県に存在しています。
現在の日本は人口減少時代に突入して、空き家になる可能性も大きいし、空き家になった時に売ることも貸すことも難しい状況にもなっています。
ただ、人の住まない家は劣化が急速に進むので、使えるうちに手を打つことが重要となります。
現在は、各自治体やNPO等が提供している空き家バンク等もあり、空き家を積極的に活用しようと動きが積極的ではあります。
空き家の活用策としては、
2.借主が改築等を負担する「借主負担DIY型 賃貸借契約」を利用
3.空き家バンクを利用
4.現状で売却、空き家を解体して売却等
5.空き地の場合は、駐車場として利用、家庭農園として貸す、自動販売機を置く 等
が考えられます。
この中で、新方式として導入されている「借主負担DIY型 賃貸借契約」は、居住に支障があるほどの大きな修繕でなければ、そのまま借主に引き渡し、借主が自分で修繕しながら居住する形態です。
借主負担DIY型のメリットは貸主、借主双方に大きく、賃貸市場の活発化が期待されているところです。
この方式での貸主のメリットは、
・借主が修繕するので長期契約になりやすい
・きれいになって返ってくる可能性がある
また、この方式での借主のメリットは、
・修繕費が借主負担なので家賃が安い
・自己修繕に対して原状回復が必要ない
いずれにせよ使ってこその家ですから、空き家は不動産としても地域としても損失が大きく、活用方法の見直しが求められていることだけは確かです。
コメント