アパートなどの賃貸住宅を一括で借り上げ、入居者を募集して転貸する「サブリース」に初めて法規制がかかりました。
保証した賃料が建物所有者に支払われないなどのトラブルが多発していました。
「サブリース」は、近年急増しており、2019年末時点で管理戸数は316万戸に上り、これは民間の賃貸住宅総数の約2割に相当するということです。
法律制定の背景や必要性
賃貸住宅は、賃貸住宅志向の高まりや単身世帯、外国人居住者の増加等を背景に、我が国の生活の基盤としての重要性は増しています。
一方、賃貸住宅の管理は、自ら管理を実施する方式が中心でしたが、オーナーの高齢化や管理内容の高度化等により、管理業者に管理委託するオーナーが増加しています。
最近は、賃貸経営を管理業者に一任できる「サブリース方式」も増加してきています。
しかし、管理業者の介在が増加する中、オーナーあるいは入居者とのトラブルが増加してきており、「サブリース方式」では、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化しています。
法律案の概要
サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化
(1)全てのサブリース業者に対し、
- 勧誘時における、故意に事実を告げず、又は不実を告げる等の不当な行為の禁止
- サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明 等
を義務づけました。
(2)サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う勧誘者につ
いても、勧誘の適正化のための規制の対象としました。
賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
(1)賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣への登録義務
(2)登録を受けた賃貸住宅管理業者について、
- 業務管理者の選任
- 管理受託契約締結前の重要事項の説明
- 財産の分別管理
- 委託者への定期報告 等
を義務づけました。
今後への期待
サブリース事業者が、家賃を一定期間保証するとしていても、実際は条件が付いており、物件の入居状況や周辺の家賃相場の動向次第で減額の可能性があります。
事業者から十分な説明がないまま家賃が減額されるといった事例があり、減額によって、家賃収入を見込んで組んだローンの返済が滞る事例も起きています。
今後は、このような問題が起きないことを願います。
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