政府は、今後多くの行政手続きで認印を廃止していく考えです。
それによって電子署名や電子契約が加速するなど、デジタル化が大きく進展することが予想されています。
オンライン化の不動産業界
不動産業界でもFAXや電話といった従来の通信手段が多く利用されてきました。
昨年はコロナの影響で、外出自粛や人との接触を避けるために、Webでのオンライン内見など、ITを活用しようという傾向が広がってきました。
政府は今後、業務のデジタル化を推進するために、行政手続き約1万5,000種類のうち99%以上の手続きで押印を廃止する計画です。
実印を押す必要がある手続きなど83種類は存続させますが、認印はすべて廃止する考えです。
不動産業界では、登記などの実印は存続、住民票の転入・転出届けなどの認印は廃止の方向のようです。
専門家によると、不動産売買契約書のような重要な契約書には引き続き実印が使われるようですが、認印で済ませている重要性の低い書類については押印をなくして署名のみとし、代わりに本人が契約したことを証明できる運転免許証やマイナンバーカードの提示で確認しようとの動きが出てくることが考えられると言います。
さらには近い将来、紙の書類自体が不要になることも考えられるということです。
今後は電子署名を用いて、迅速に契約を完結させる電子契約が広がる可能性もあるということです。
電子契約・電子署名はどのように?
電子契約は、契約書の発行や、締結、管理までの一連の流れをインターネット上で行うことを言っています。
インターネットを通じて取引先と書面を交わし、契約を締結して書類はサーバー上に電子文書として保管することになります。
デジタルでは印影や署名を簡単にコピーすることができますので、印影や本人の署名には意味がありません。
電子文書の場合の本人確認は、認証局というところが発行した「電子証明書」に「電子署名」をすることで、本人であることを証明することになるそうです。
電子証明書は公開鍵暗号方式というシステムを用いて作成者を特定することができることになります。
これによって契約者が本人であることや、契約が正式なものであることが認められることになります。
そして、契約後に契約日時や内容を改ざんされないように、防止するのが、「タイムスタンプ」という仕組みということです。
タイムスタンプは第三者機関によって付与され、これによって契約が行われた日時を特定することができ、またその時刻にこの電子文書が存在し、内容が確定され、その時刻以降に文書が改ざんされていないことも証明されることになります。
電子契約を行うためには、各種の手続きが必要ですが、書類作成の手間や書類の保管などの面倒を省いて、契約を安全、かつスピーディーに結ぶことができるという利点の多いシステムだということです。
電子契約だけで不動産取引が可能になる時代が刻々と近づいてきていると言えそうです。
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