マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、建物の経年劣化に対応した適切な修繕工事を適切な時期に行うことが重要になってきます。
マンションの「長期修繕計画」を作成し、それに基づいた修繕積立金の額の設定を行うことが必要になってきます。
国土交通省では、「長期修繕計画標準様式」、「長期修繕計画作成ガイドライン」を策定していますので、長期修繕計画が未作成又は見直しを実施する場合は参考になると思います。
長期修繕計画とは
分譲マンションは、専有部分と共用部分で建物等が構成されており、共用部分については、区分所有者全員で管理組合を構成し管理を行っています。
建物は、経年により劣化していきますので、適時適切に修繕工事等を行う必要があります。
マンションは建物の大きく複雑なため、修繕工事等の費用は一般的に多額で、修繕工事等の実施時に一括で徴収することは区分所有者に大きな負担を強いることになります。
場合によっては、費用不足のため必要な修繕工事等が行えず、建物等の劣化を進行させてしまうことになります。
そうすると、あとで大きな負担が発生するおそれも出てきます。
長期修繕計画は、そのようなことがないように、将来予想される修繕工事等を計画し、必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するものです。
単棟型マンションの長期修繕計画の作成
単棟型のマンションの場合、管理規約に定めた組合管理部分である敷地、建物の共用部分及び附属施設が対象になってきます。
計画修繕工事の実施の要否、内容等は、事前に調査・診断を行い、その結果に基づいて判断するようにします。
修繕工事の実施は、建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させることが基本となってきます。
また、区分所有者の要望などを必要に応じて取り込む改修工事や法定点検等の点検の実施も併せて実施するようにしたいものです。
一度作成した長期修繕計画は、将来実施する計画修繕工事の内容、時期、費用等を確定するものではなく、一定期間ごとに見直していくことを大事なことです。
既存マンションの場合は、一般的な仕様により計画が設定されますが実施時には技術開発等により異なることがあります。
また、計画には、修繕積立金の運用利率、借入金の金利、物価及び消費税率の変動など不確定な要素を加味しなければなりません。
修繕積立金の額の設定の手順
既存マンションの場合は、長期修繕計画の見直し及び修繕積立金の額の設定について、理事会、専門委員会等で検討を行ったのち、専門家に依頼して長期修繕計画及び修繕積立金の額を見直し、総会で決議することになります。
なお、長期修繕計画の見直しは、単独で行う場合と、大規模修繕工事の直前又は直後に行う場合があります。
- 理事会、専門委員会等での検討
- 専門家の協力の下、建物及び設備の調査・診断結果の作成
- 長期修繕計画及び修繕積立金の見直し
- 総会決議(普通決議)
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