長引くコロナ禍にあって、住宅ローンの返済に窮する方が増えています。
金融機関から返済猶予などの救済を受けた方が5万人を超えています。
この数字は、東日本大震災の際の5倍に達するということで、新型コロナの影響で収入減に陥った方がいかに多いかを示しています。
住宅ローン救済の実態
ある旅行会社に勤める50代の男性は、コロナ禍で勤務先の業績は低迷していますが、給与は大きく減っていないということです。
しかし、これからを考え、低金利の住宅ローンの借り換えを申し込みましたが、仮審査も通らなかったということです。
旅行業界というだけで審査が厳しいと言っています。
コロナ禍で住宅ローンの返済が難しくなり、金融機関の救済を受けた人は2020年3月~12月の累計で5万人を超えています。
この分野の専門弁護士によると、「救済の内容は、半年から1年程度、毎月の返済を利息だけにする『元金据え置き』が多いとみられる。」ということです。
これでは、猶予期間中の返済額は少なくなりますが、返済能力が戻るまでの時間稼ぎにすぎません。
住宅を手放す決断をしても
住宅ローンの相談サービスを運営する代表によると、返済猶予後も返済の目途が付かない場合、住宅を手放して返済に充てる交渉に移ることになるということです。
現在中古住宅は好立地であれば売り手市場ですから、住宅を手放す決断さえできれば、住宅ローンを完済して生活再建へと進むことが可能になります。
しかし、住宅価格が下落するようなことになれば、住宅を売っても債務が残ってしまうということも考えられます。
返済猶予から踏み込んだ制度
全国銀行協会などは、返済猶予から一歩踏み込んだ制度の運用を2020年12月から始めているということです。
返済猶予では基本的にローン残高は減りませんが、この制度ではローン自体を減免するということです。
災害被災者の債務整理の仕組みをコロナに応用したもので、開始1ヶ月で100件弱の申し込みがあったそうです。
最終的には、住宅の売却を迫られるケースもあるようですが、信用情報機関に登録されることはないようです。
この制度の利用者はまだ少なく、認知度が低いようです。
日本政府も、返済猶予を促すなど「問題先送り」の対応に終始していますが、返済困窮者に対応する減免制度を講じるなど、一歩進んだ政策が求められるところです。
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