家庭裁判所における遺産分割をめぐる紛争は、通常調停を実施し、調停が不調なら審判に移行します。
調停は、話し合いで裁判官と家裁の調停委員が当事者からの言い分を聞いて、合意内容を「調停調書」としてまとめる作業になります。
この調書は、裁判の判決と同じ効力があるものです。
一方、審判は裁判に当たり、基本的には法律に沿った判断になるということです。
いわゆる、法定相続割合による分割になることが多いということです。
家裁の遺産分割の内容
家庭裁判所における遺産分割調停・審判の件数は、2019年に15,842件でした。
この件数は、2009年に比べ約17%増えています。
内容を見ると、遺産があまり多くないほど揉めやすい傾向があります。
2019年に調停が成立した7,284件の内金額5,000万円以下が76.6%、1,000万円以下も34%を占めています。
そして、紛争期間も40%以上が解決まで1年以上かかっています。
調停が成立した紛争の金額別割合(2019年最高裁集計より)
◆1,000万円以下 ———————- 34.0%
◆1,000万円超~5000万円以下 — 42.6%
◆5,000万円超~1億円以下 ——– 10.8%
◆1億円超~5億円以下 ————– 6.7%
◆5億円超 ——————————- 0.6%
◆その他 ——————————— 5.3%
少額ほど揉める理由は
5,000万円以下の場合、遺産は実家の土地建物が大半で、誰かが相続すると、他の相続人がもらえる財産が少なくなる事情があるようです。
遺産の総額が5,000万円以下の場合、相続税がかからないことが多いため、親は遺言作成など相続紛争への備えをしないことが多いと言います。
紛争になった場合、「代償金を支払うのが一案」と専門の弁護士は言っています。
実家を相続する人が、自らの預貯金を他の相続人に分けるやり方になりますが、約70%に人がこの代償金の支払いによる解決方法だということです。
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