競売によりマンション一室の所有権を取得した所有者は、前所有者が滞納していた水道料金及び駐車場料金を管理規約に基づいて管理組合に支払いました。
その後、専有部分である住戸の水道料金を管理組合に支払う義務を定めた管理規約は無効であると主張して、管理組合に不当利得による水道料金の返還を求めました。
管理規約には、「専用使用料、駐車場料金及び水道料金等で、区分所有者が管理組合へ支払うものの滞納がある場合、全滞納額を承継人に対しても請求を行うことができる。」と定められていました。
問題点
住戸内の水道料金につき特定承継人に、支払い義務があることを定めた管理規約は無効なのか
裁判所の判断(名古屋高等裁判所)
区分所有法では、規約に基づき区分所有者に対する債権について、特定承継人に対しても行うことができる旨定めている。(同法8条他)
また、「管理又は使用に関る区分所有者相互間の事項は、法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と定めています。
この場合、専有部分の水道料金であり、共用部分の管理とは直接関係がなく、区分所有者全体に影響を及ぼすものとも言えない。
上記の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項には該当しない。
よって、専有部分の水道料金について、管理組合の規約をもって支払義務の承継を定めることはできず、それを定めた規約は効力を有しない。
一方、滞納駐車場料金は、管理組合は特定承継人に請求できるとしました。
根拠は、駐車場が共用部分に当たるとしたことから、滞納があった駐車料金について承継人に滞納額を請求する規約を定めても無効であるとは言えないとしました。
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