コロナ禍をきっかけに地方暮らしを希望する人が増えてきています。
しかし、地方移住の最大の壁は、「仕事」です。
そこで2020年に誕生したのが、「特定地域づくり事業協同組合制度」で、人材確保を後押しする制度になっています。
この制度では、複数の業務を組み合わせてマルチワーカーとして働いてもらうことになっています。
「特定地域づくり事業協同組合制度」とは
地域人口の急減に直面している地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するための事業を行う事業協同組合に対して財政的、制度的な支援を行う制度になります。
特定地域づくり事業は、季節毎の労働需要等に応じて複数の事業者の事業に従事するマルチワーカーによる労働者派遣事業等を言います。
特定地域づくり事業協同組合制度では、
◆人口急減地域において、
◆中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合が、
◆特定地域づくり事業を行う場合について、
◆都道府県知事が一定の要件を満たすものとして認定したときは、
◆労働者派遣事業(無期雇用職員に限る。)を許可ではなく、届出で実施することを可能とする、
◆組合運営費について財政支援を受けることができるようにする
という制度になります。
この制度を活用することで、安定的な雇用環境と一定の給与水準を確保した職場を作り出し、地域内外の若者等を呼び込むことができるとともに、地域事業者の事業の維持・拡大を推進することが期待できます。
島根県隠岐諸島の例
隠岐諸島は、日本海に浮かぶ島根県の人口約2,200人の町になります。
東京から昨年移住した20代の若者は、1月~3月は漁師生活、4月からは地元の会社が運営する岩ガキなどの水産物加工センターで働いています。
原則、3ヶ月ごとに勤務先を替えるマルチワーカーとして働きます。
この若者を派遣するのは、地元の5つの事業者で設立した協同組合です。
組合は、採用した職員の1年目を「島を知る時間」と位置付けて、3か所以上でそれぞれ3ヶ月以上勤めてもらう方針です。
2年目は、「島に入り込む」をテーマに、それぞれの希望に沿ってより柔軟に勤め先を変えることになっています。
組合では、関東や関西の若者を順次採用していて、人口減少が止まらない過疎地域の人手不足を補っています。
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