東京都八王子市で3階建てアパートの外階段の一部が崩れて住民の女性が転落死した事故が発生しました。
原因は、階段を固定する金具の溶接が不十分で、強度が不足していたと捜査関係者は言っています。
工事完了後の建築確認検査は、民間の検査機関が担当しましたが、「手抜き工事」を見過ごしていたことになります。
アパートでの事故発生
このアパートは、築8年の木造アパートです。
3階に住む無職の女性が階段を昇っている途中で、階段が崩落して約2m下の地面に落下し、脳挫傷で5日後に死亡しました。
警視庁は、施工した業者(相模原市)によるずさんな工事が原因としています。
調べでは、木製の踊り場部分が腐食して事故につながったことが確認されていますが、外階段をつなぐ金物の溶接部分が一部分しか実施されておらず、不十分な状態だったことが判明しています。
現場検証に立ち会った専門家も、溶接強度の不足を指摘しています。
建築確認検査の形骸化も問題視
このアパートでは、施工に法令違反がないかなどをチェックする「建築確認検査」が実施されています。
担当したのは民間の検査機関ですが、業者の「手抜き工事」を見逃していたことになります。
1999年から民間の検査機関も実施
国土交通省によると、建築確認は自治体の他、国土交通大臣や都道府県知事などの指定を受けた全国約130の民間検査機関も実施しています。
2019年度に全国で実施された建築確認は、自治体が約4万8800件だったのに対して、民間の検査機関は10倍以上の約52万件も実施しています。
元々は、自治体だけで実施していましたが、建築確認を行う専門の人材不足から現在のような形式になっています。
専門家によると、競争が激しい民間建築確認機関の場合、「うちなら安く、速く許可を出す」という状況もあり、実質的に検査が形骸化しているのではと指摘しています。
国による民間検査機関への立ち入り検査を増やして、適正でない場合は罰則を強化するなど、検査の質を高めてもらいたいと思います。
コメント