顧客らによるカスタマーハラスメントで精神障害になったとする労災認定が相次いでいるということです。
民間、地方自治体を問わず、カスハラを受けた社員、職員が労災認定を受ける事例が相次いでいます。
クレーマーに対応する組織
関東地方のある市の職員は、特定の市民による執拗なクレームへの対応で、うつ病を発症しました。
職員は、道路整備を担当していたが、特定の市民から道路維持に関する苦情や改善要望が頻繁に寄せられました。
当初は、上司の課長と一緒に対応していましたが、途中から一人で任され、多い月では11日間も対応したということです。
さらに、この職員は、課長の指示で自分の携帯電話の番号をこの市民に教えたため、勤務時間外や休日も電話で対応せざるを得ない状況になったということです。
同僚らの証言では、組織的な対応指示は見受けられなかったということです。
とうとう、この職員はうつ病を発病し5カ月以上休むことになりました。
その後も、断続的に休むことを余儀なくされました。
職員は、市職員組合に相談して公務災害認定を申請し、認められました。
職員は、クレームを付けた市民には、何とも思っていないということですが、市が組織として対応できなかったことに納得がいかないということです。
クレーマーに対するマニュアル作成
関西のある市では、クレーマーに対する職員向けの内規を作成しました。
タイトルは、「社会的妥当性を逸脱した苦情等への対応マニュアル」です。
「担当者の配慮」として、負担が大きくなったり孤立したりすることがないように、「事情を熟知した複数の者で話を聞くなど課全体で対応する」「職員の安全の確保を最優先に行う」 などを規定しています。
対応を打ち切ってもいい判断基準として、次の4ケースを挙げています。
●当初伝えた時間が経過した
●従前の主張の繰り返しのみである
●担当外の事項に関する主張のみである
●職員個人を誹謗中傷する発言の繰り返しである
さらに、該当する事例で苦情などが続いた場合は、電子メールや郵送で最終的に対応を打ち切る旨の書面を送る。
重大な問題の場合は、不当行為調査等委員会(弁護士、精神科医、大学教員で構成)に伝達し、意見を聞いたのち、市長決済で対応を打ち切るということです。
苦情を言ってくるクレーマーには、正当なもの、不当なもの、明確でないものとありますが、個人で対応する、特定の個人に任せる、のではなく、組織で対応する姿勢が最も大事だということです。
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