現在、全国に約650万戸余のマンションがあり、大規模修繕に備える積立金の不足に悩むケースが増えています。
国土交通省の調査によると、積立金額が計画に比べて不足しているマンションが35%に達しているということです。
マンションは、12年から15年の周期で大規模修繕を行うのが一般的ですが、手元にある資金で必要な個所からいかに修繕していくかが重要になってくると言えます。
修繕積立金はなぜ不足するのか
マンションの新築販売時に売りやすくするために、「修繕積立金」を必要以上に安く設定していることがあります。
現在の新築マンションの68%が、新築時の修繕積立金の額を抑え、段階的に値上げする「段階増額方式」を採用しているということです。
この方式だと、計画通りに増額しようと思っても、区分所有者の合意形成が図られずに修繕積立金が不足する事例が発生しています。
また、このコロナ禍の影響で区分所有者の失業や倒産による修繕積立金や管理費の滞納が増加すること予想され、さらに厳しさを増しそうです。
修繕積立金の適正額とは
一般的なマンションの修繕積立金の適正額については、国土交通省が2011年に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で公表しています。
それによれば、通常のマンションの場合、専有面積1㎥あたり月額200円程度の積立金が適切となっています。
専有面積70㎡のマンションならば、適切な修繕積立金は月額14,000円という額になります。
修繕積立金不足をどう運用するか
マンションの修繕積立金が不足した場合、どのように対応していくのがベターなのか。
専門家によれば、「修繕周期を長期化することが必要」で、例えば「高耐久性の塗装材や防水シートはすでに商品化されており、それを使えば12年周期が15~18年周期に長期化させることができる」と話しています。
管理組合は、長期修繕計画を見直し、緊急性が小さい工事を探して先送りすることが重要になってきます。
管理会社や施工会社は、決められた計画に沿って修繕を提案しがちですが、言われたとおりにしていたら積立金が一気に不足することになりがちです。
手元にある資金で、いかに必要な個所から修繕をしていくかという視点が重要になってきそうです。
安易に、不足資金を金融機関から借りるなどは、長い目で得策にはならないということです。
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