現在、65歳以上の要介護者の約3分の2の人が自宅で暮らしているそうです。
在宅ケアの充実や「老後破産」の回避は、今後の大きな課題になってきています。
まずは、若い時とは異なる暮らし方、住まいの機能を見直して、「住まいの介護力」を高めるという考え方も必要になっているということです。
家庭内事故死の要因
独立行政法人国民生活センターの高齢者による家内事故の原因の調査によれば、65歳以上の家庭内事故死の要因の順位は次のようになっています。
1位 | 浴室内の不慮の溺死及び溺水 | 39% |
2位 | その他の不慮の窒息 | 28% |
3位 | 転倒・転落 | 18% |
65歳以上の高齢者に限れば、家庭内事故死は交通事故死の5倍にもなるそうです。
住まいの介護力向上
家庭内事故を防ぎ、介護や病気となることやその重度化を防ぐために、住環境をリフォームすることも大事になってきます。
浴室やトイレの温度差、内開き戸などの危険個所をリフォームすることで防げることも大きいといえます。
入浴時のヒートショックを防ぐ小さなリフォームでも、住まいの介護力は向上するといえます。
現在、90歳以上の人が200万人以上もいて、さらに増加傾向にあります。
人生100年時代を迎える中、どのように住まいの「老活」を考えていくか、これから重要なテーマになっていきそうです。
小さな暮らしへ住み替え
ある高齢者夫婦は、東京都で25年間暮らしたマンションを売却し、都内にある都市再生機構(UR)の賃貸住宅に引っ越しました。
高齢化と共に、仕事も縮小する中で、築40年が経過したマンションは建て替えも検討する時期にきていました。
住宅ローンは、ほぼ返済していましたが、共益費・修繕積立金、駐車場代、固定資産税も含め月平均約30万円に上っていたということです。
引っ越しするならば、賃貸で、更新料や保証人が不要なURで探したいと考えていたそうです。
住まいの費用は月22万円で、自宅の売却もスムーズにできたということです。
マイカーも売却し、広いスペースから狭いスペースへの引っ越しのため、多くのものを処分してすっきりした気分で過ごしているそうです。
人生100年時代、3段階で住み替え
老後の住み替えに詳しい特定非営利活動法人シニアライフ情報センター(東京都渋谷区)によると、「人生100年時代、長い老後をどうしたらよいのか、今みんなが戸惑っている」ということです。
一時代前は、土地があれば売却し、有料老人ホームで最後まで暮らすこともできたが、今は空き家が増えている時代です。
売却しても大したお金にならず、施設での生活も長期化すると、貯えが尽きる恐れも考えられます。
自宅を処分するときの年齢も問題になってきそうです。
要介護認定を受けるのは80代です。
この年代になると、不動産を売り、次の住まいを手配するのは大変な作業になります。
子供など頼れる人がなく、自宅を処分するなら早めの70代で取り組む方が良いかもしれません。
最も経済的なのは、介護保険の在宅サービスを使い、最後まで自宅で暮らすことになりそうですが、認知症ということも考えられます。
元気な時は自宅、一人で不安になったら何らかの見守りがついた賃貸住宅、状況次第では最後を過ごすホスピスのような場所も・・・
刻々と状況が変わることも考えて、60~70代では5年刻みで、それ以降は2、3年刻みで、人生の設計を考える必要があるのかもしれません。
コメント