4月から実施される「配偶者居住権」は、自宅に対する権利を「所有権」と「居住権」に分けて考えるようにして生まれました。
「居住権」は相続の選択肢の一つに過ぎず当然生じる権利ではありません。
「居住権」の成立
「居住権」は、配偶者限りの権利で売却や譲渡はできません。
夫の死亡時点で、夫名義の自宅に妻が無償で住んでいた場合に限られます。
夫婦が同居せず、妻が一人で住んでいても成立します。
妻は、原則死ぬまで住み続けられ、妻の死後自宅は相続人(子ども)のものになります。
ただし、事実婚や同性カップルでは認められません。
「居住権」は、「遺言」「遺産分割協議」「家庭裁判所の審判」のいずれかで設定された場合に初めて生じる権利です。
こんなケースもある
子供いない夫婦でも「配偶者居住権」は使われるケースがあるということです。
これまでは子供がいない場合、自分の弟など血縁者に自宅を確実に残す手段がありませんでした。
例えば、夫の死後に妻が自宅を相続すると、妻の死後は妻の血縁者が自宅を相続することになります。
そこで、配偶者居住権を使うと、夫は妻に自宅の居住権を、自分の血縁者に所有権を残す方法も考えられるということです。
婚姻期間が20年以上の夫婦の場合
このような夫婦の場合、昨年の7月1日から別の制度が施工済みです。
配偶者に生前の贈与か遺言で残された自宅は、遺産分割の対象に含めないことになりました。
これまでは、遺産分割の際に生前贈与がなかったものとして扱われ、住まいを確保できない場合がありました。
税理士によると、税法上自宅の評価額が2,110万円までなら相続税、贈与税ともかからないということですから、一般のサラリーマン家庭なら非課税で贈与できそうです。
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